通話録音システムをお選びいただく際に参考にしていただきたいシステム構成の特徴について

通話録音システムを導入したいとWEB検索を行いますと、さまざまなサイトが出てきます。

今ある設備のまま録音システムが構築できるかどうかという観点ですが、汎用的に後付け機能として使用できるものとして、録音ポイントの観点で参りますと、特に物理的な電話機、多機能電話、ビジネスホンなどに使用できるものは、クライアント型(電話機個別取得型)とロガー型(回線一括取得型)に分けられると思います。

最近ではクラウド型の通話録音もございますが、単体でオンプレ側の録音はできないので、あくまでも録音ポイントとしますと、上記の2箇所がメインとなります。(網側でキャプチャするケースもございますが、キャリアサービスの一部となっていて、後付けという観点ではないので別の機会に説明いたします。)

クライアント型の通話録音システム

まず、クライアント型ですが、電話機ごとに録音するタイプです。パソコンが必要な「USBデバイスタイプ」と「ソフトウェアタイプ」、パソコン不要の「単独アプライアンスタイプ」があります。

パソコン不要な「単独アプライアンスタイプ」は取り付けも簡単ですぐに録音をし始められますので、設置対象が数台で、安く、誰にでも取り付けられて、個別に単独で録音できれば良いという使い方にピッタリではないかと思います。しかし録音ファイルの管理が少し手間となりがちと感じます。SDカードでの受け渡しや、ネットワーク共有へコピーされるものの、ファイルのアップロードに失敗するとアプライアンスに溜まったまま容量が枯渇し、いっぱいになると録音がもれてしまうなど、管理に手間がかかる感触があります。ただ、アプライアンスタイプでも集約装置と連携するような仕組みもありますので、これは次にご説明するパソコンが必要なタイプと同等と考えて問題ないかと思います。

パソコンが必要なタイプでは主にUSBデバイスを使用するタイプのものと、最近ではソフトフォンやWEBミーティングの録音を行うソフトウェアタイプのものがあります。

スマホのソフトフォン録音などもクライアント型で、音声の取得はパソコンが必要なタイプと同じソフトウェアタイプと分類できると思います。

パソコンが必要なタイプでは単独アプライアンスタイプに比べソフトウェアのインストールと設定が必要になりますが、柔軟な利用が可能になります。録音ファイルをエクスプローラで取り扱えるなど、パソコンに慣れた方であれば非常に把握しやすい管理方法になっています。

パソコンが使用できますので最近の大容量化に伴い録音時間もパソコン側だけで数千数万時間、余裕で保存できますし、バックアップなども直感的に可能となります。さらにネットワークを活用した集中管理やデータの多重化にも適しておりますので、管理者による一括管理などにも適し、データ保全において柔軟に安全な対応ができる仕組みとなります。

クライアント型は、1台でも利用できますし数十台規模から数千大規模まで、幅広く対応ができ、増設時に一台ずつ追加できるのも特徴の一つです。
基本的に回線に影響しませんので実施しようと思えば昼間の業務中でもセットアップを行うことができます。ただ反面、1台ずつ取り付けますので数百台規模では初期導入時に大変時間がかかります。

録音の範囲として、クライアント型を総合すると音に反応して録音を開始停止することが多いです。ですので、電話機周辺で大きな音を立てたりしますと無駄な録音ができてしまうことがありますが、これはソフトウェアの機能で判断し、ある程度除去が可能ですので目的の録音ファイルを探し辛いということはあまりありません。

クライアント型の大きなメリットになると思いますが、通話が暗号化されていても録音が出来るという点です。今後ますます厳しくなっていくセキュリティー対策のうち、電話の音声も対象外ではなくなってきます。レガシーな回線(アナログ、ISDN等)ではございませんが、IP通話は暗号化がされてしまうと、通話路上でのキャプチャーが難しくなりますので、クライアント型の有利な点となります。

ロガー型の通話録音システム

次にロガー型です。こちらは既存の電話回線(内線のケースもあります)に音声取得装置を挟み込み、回線上の音を取り出して録音するタイプです。音声を取り出す場所としまして、外線側タップ、内線側タップがあります。

外線側タップでは外線側に取り出し装置を間にかませますので、発信者番号が取得できます。対して、内線側タップではクライアント型と同様に内線番号が特定できますのでどの内線で通話した録音なのかが確実にわかります。どちらも回線の線路上に設置しますので一括取得が可能で、基本的に工事も大掛かりではありますが1箇所ですみます。回線上の音質が一定となりますので、録音音質はクライアント型と比較して安定していると考えられます。

外線側タップの場合は、内線の増設等においては、設定追加はある可能性がございますが基本的に外線側へ影響ありませんので工事が不要です。しかし、外線の増設時には電話の使用を止めるほど大掛かりな追加工事が必要になります。(あるいは止めないように迂回策を準備いたします。)そのため費用も高額になりますが、大規模になればなるほど、内線単価は安価になります。したがって適応規模も大型のコンタクトセンターなどとなります。

録音の範囲として、ロガー型では録音開始のトリガーは通話に連動することがほとんどですので、必要な録音が確実に取れると考えられます。

最後に

最後になりますが、クライアント型、ロガー型とも、基本的に通話に影響を与えることはほとんどございません。ただ物理的な接触不良やノイズ等による影響は出ることがありますが原因を排除することで改善します。

またクライアント型の安価な単独アプライアンスタイプでは難しいのですが、クライアント型のパソコン使用タイプ、ロガー型とも、交換機やCTIシステムとの連携を行い、不足する情報を補うことで弱点を克服している仕組みもありますのでこの点もぜひご確認ください。

あとはどこに音声を貯めるのかという違いがそれぞれの仕組みで特徴的にございますので、費用感とニーズにあったシステム、サービスをお選びいただくことが良いと思います。

社内にシステムに詳しい方がいらっしゃらなければ、クラウド保存ができる仕組みも良いと思いますが、どうしても公共ネットワークの第三者責任が分界点として余計にありますので注意が必要です。